8.中枢系との関係 2
手技療法により脳〜脊髄神経の機能を調整しようとした場合、単に背骨を揉んだり、ボキボキ鳴らしたりしただけでは、その目的は達成されません。
先に述べたように、からだは強い力は拒否しようとしますし、中枢に近くなればその傾向は顕著になります。
ではアプローチのターゲットは何でしょうか?
中枢を守る脳脊髄硬膜は内部の圧力を受けてその動きを頭蓋骨や仙骨に伝えます。逆に見れば、硬膜が何らかの原因で動きを阻害されれば、内部に悪影響を与えるわけです。
硬膜は頭蓋〜脊柱の内側全部に直接付着しているのではなく、頭蓋骨と頚椎との境目の部位や上部頚椎、仙骨などに限局されます。
この硬膜の動きと、どこが連動しているかということを考慮して反応や動きをモニタすることで、内部の様子をうかがい知ることが出来ます。
これらの限局されたポイントがターゲットであり、そして適確に調節されるためには計算されたアプローチが必要です。
中枢神経系は呼吸器系や循環器系、消化器系や内分泌系…等々、からだの働きすべてのコントロールに関わってきますから、ここがうまく調整されると部分的だけではなく、からだ全体の回復力のボトムアップにつながってきます。
 筋骨格系においても、異状が見られるところ以外にも同じようにバランスを取るべく命令系統が整理されますから、全体的な統合性も取れてきます。可動域異常の部位も安定度がより増してきます。
からだの恒常性への影響力ということを考えると、この電気的なルートの整備が治療における一番の近道です。
大元を調整した時点で影響下にある部位が改善されれば、余計な部分を揉んだり叩いたり鳴らしたりする必要はなくなるわけです。
6で述べた「悪い箇所だけ治療する」というのは、このようなことも関連しています。
中枢神経系の働きをスムーズにするという観点から見れば、部分的な治療に見えても実はからだ全体のシステムに影響を与えているのです。
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