治療についての説明…の補足

以前は「治療について」に入れてあった内容ですが、くどいのでこちらに別項目として移しました。「回復の過程&反応」の前にあった部分です。
興味のある方はお読みください。↓

中枢系との関係

 冒頭(“この治療法について”の項)の「中枢神経である脳や脊髄の働きを主に調節」、これはどのような原理によるものでしょうか? また、その関連性は?
 先に述べたように、筋骨格系の働きは、一般に考えられているよりも広い範囲でからだの機能と連動しています。
 それにはパーツごとにバラバラに見るのではなく、からだ全体を一つのシステムとして考える必要があります。
 例えば、内臓はそれらを覆う筋膜の動きと密接に連動し、また神経系も介して筋骨格系と協調して働きますから、からだがいわゆる「きゅうくつ」な状態にあるときは臓器も動きに制限が加えられ、うまく活動できないことがあります。

 内臓が先にしろ骨格が先にしろ、異常を起こさせる原因は神経系の不調であると考えられます。それによる機能障害の結果が、筋肉や関節の可動域を妨げ、そしてまた2次的な症状へつながっていくわけです。
 一番最初に関節の可動域減少があるのではなく、そうさせる「原因」ということです。


 不調を起こさせる原因は色々あります。外力によりむち打ち状態になった、同じ姿勢を強いられたことにより関節が負担を受けた、など。
 ただその場合でも、その関節(筋肉を含む)部位だけがダメージを受けるのではなく、それと同時に、中枢神経系も一緒に影響を受けます。
その結果、関節を保持する筋肉をはじめ、さまざまな神経系の情報が錯綜します。そのため悪い状態で定着し、回復がスムーズにいかなくなってしまいます。

中枢系との関係 2

 中枢系の構造と機能の主役、頭蓋骨〜脊柱〜仙骨について説明します。
 一般的にはアゴの関節以外は動かないと思われていますが、実際には23個のパーツから構成されている頭蓋骨の縫合は完全には骨化せず、さらには一定のリズムを保って動いています。
頭蓋骨内部には脳があり、脊柱内の脊髄神経がつながっています。
脳〜脊髄神経は頭蓋骨〜脊柱の内部で、脳室内の脈絡叢(みゃくらくそう)で生成される脳脊髄液という液体に満たされています。
 それをおおう脳脊髄硬膜は頭蓋骨内部では内張のようになっていて、脊柱内部を通って骨盤にある仙骨までつながっています。
脳―脊髄神経はそれにおおわれて半ば密閉された状態で守られています。
 脳脊髄液に脳と脊髄を浮かべることで、外部からの衝撃等をやわらげる原理です。


 そして上で述べた頭蓋骨の動きのリズムは、骨盤にある仙骨と連動しています。これは頭蓋〜脊柱内部を絶えず循環している脳脊髄液の圧力との関係によるものと考えられています。
 この水圧システムは頭蓋仙骨システムと呼ばれます。
 この中枢神経に直接影響を与えるシステムのバランスが崩れると、中枢神経系は充分に機能できません。からだ全体に影響を及ぼします。
 からだの部分的なところも大事ですが、まずはこのシステムが円滑に働いている必要があるのです。これはオステオパシーにある「頭蓋骨調整」という考えに基づいています。

中枢系との関係 3

 手技療法により脳〜脊髄神経の機能を調整しようとした場合、単に背骨を揉んだり、ボキボキ鳴らしたりしただけでは、その目的は達成されません。
先に述べたように、からだは強い力は拒否しようとしますし、中枢に近くなればその傾向は顕著になります。

 ではアプローチのターゲットは何でしょうか?
 中枢を守る脳脊髄硬膜は内部の圧力を受けてその動きを頭蓋骨や仙骨に伝えます。逆に見れば、硬膜が何らかの原因で動きを阻害されれば、内部に悪影響を与えるわけです。
 硬膜は頭蓋〜脊柱の内側全部に直接付着しているのではなく、頭蓋骨と頚椎との境目の部位や上部頚椎、仙骨などに限局されます。
 この硬膜の動きと、どこが連動しているかということを考慮して反応や動きをモニタすることで、内部の様子をうかがい知ることが出来ます。
 これらの限局されたポイントがターゲットであり、そして適確に調節されるためには計算されたアプローチが必要です。

中枢系との関係 4

 中枢神経系は呼吸器系や循環器系、消化器系や内分泌系…等々、からだの働きすべてのコントロールに関わってきますから、ここがうまく調整されると部分的だけではなく、からだ全体の回復力のボトムアップにつながってきます。

 筋骨格系においても、異状が見られるところ以外にも同じようにバランスを取るべく命令系統が整理されますから、全体的な統合性も取れてきます。可動域異常の部位も安定度がより増してきます。

 からだの恒常性への影響力ということを考えると、この電気的なルートの整備が治療における一番の近道です。
 大元を調整した時点で影響下にある部位が改善されれば、余計な部分を揉んだり叩いたり鳴らしたりする必要はなくなるわけです。
 「悪い箇所だけ治療する」というのは、このようなことも関連しています。

 中枢神経系の働きをスムーズにするという観点から見れば、部分的な治療に見えても実はからだ全体のシステムに影響を与えている…ということです。


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COLUMN

ちょっとしたハナシ…

 現代はインターネットをはじめとしたメディアの発達により、さまざまな情報がすぐ手に入る時代です。
(カイロプラクティック等に代表される)手技療法に対する情報も、多くの方に知られていることと思います。
 しかしその一方で、地域により認識の度合いが違ったり、従来の手技療法にまつわるイメージの先行により、偏見や誤解を持っている方もまだまだ多いのではないかと思います。
 ここでは、そういった事も含め、手技療法について主に書いてみたいと思います‥‥が、思いつくまま、全然違う話も書くかも知れません(…といいつつ全く放置してます)。
手技療法に興味があって、うんと時間が余っている方はヒマつぶしにお読みください。

 尚、手技療法に対する見方・考え方は私見であり、独断と偏見も多分に盛り込まれますので、あらかじめご容赦ください。
また、こんなページまで読まれる方はこのテの治療に興味があり、興味のない人はこんなサイトは見ないだろう、という前提で書いていますので、その点もご了承ください。

関節がズレる

 オステオパシーやカイロプラクティックは、現在、日本においても広く知られていることと思われますが、世間一般から見て、日本ではいわゆる整体の仲間と見られているため(そう思われても仕方ないのですが)、多くの方に認識されているのは「ズレた骨を元に戻す治療法」ではないかと思います。
 これは過去から現在に至るまで、様々な療法名や流儀が喧伝されながら、方法の多くは腰や頚などの背骨を捻ったり押したりして「パキッ」「ボキボキッ」と鳴らすやり方が圧倒的に多かったためでしょう(現在もその方が多いと思います)。
音がすると、いかにもズレた骨がハマった感じがしますし、また、施術者もズレた骨を戻すつもりで行なってきたのだと思います。

 しかし現在(といってもかなり前からになりますが)では、骨がズレたという認識は正しくはなく、そうではないことが分かっています。
 手技療法において改善しなければならない関節とは、「不自然な可動性を持つ」関節であり、決して「ズレた」関節ではありません。ましてや、背骨ならこれはなおさら強調しておきたいところです。
背骨が1cmも2cmもズレたら大変なことになってしまいます。
 限度を超えたものは脱臼であり、それは整形外科に行って貰わなくてはなりません。

 手技療法で「ズレた」と表現される「不自然な可動性」とは、関節と関節をつなげている筋肉や腱のレセプターが何らかの原因でエラーを起こし協調性を失い、『ある特定の方向へは動きやすいが、別な方向へは動きづらくなってしまった状態』『他と比べて著しく動きに制限がみられる状態』『他と比べて動き過ぎる状態』をいいます(少なくても筆者はそのように理解しています)。
 筋骨格系に対する手技療法の直接的な目的は、何らかの原因で生じた可動域の制限や、スムーズな動きが出来なくなった関節(を支える筋肉)あるいは筋群そのものを、正常な状態に近付けるように誘導することです。より少ない刺激で目的を達することが出来るならば、わざわざリスク(=この場合は余計な外力)を負う必要はありません。

 ですから、施術の時にボキボキ音が鳴らないと気が済まない感覚というのは「ズレた骨を元に戻す」という思い込みから生じたものであると言えます。
 ただ、当治療室では使わないだけで、スラストを用いたテクニックにはそれなりの理由があり、そういったテクニックそのものを否定するつもりはありません。

 よくよく調べないでとにかく片っ端からボキボキバキバキやるなどというのは、これはもう論外なのですが、意外とこれはこの時代になってもまだ多いのかもしれません。
(同業者同士でのセミナー等では、面倒なので「これがこっちにズレて‥‥」などと会話したりしますが、本当の意味で「ズレた」と思って話している人間はいない‥‥と思います、多分)

 これを読んで、「骨のズレ」に対する認識に若干の修正を加えて頂ければ幸いです。

 ちなみに、上記のことを踏まえた上でもなお「とにかく全身をゴキゴキやって欲しいんだ」「痛いぐらいの方が効果があるんだ」との信念をお持ちの方には、当治療室での施術はまったくご期待に添えないことになると思います(決して手抜きでやってるわけではないです)。
ウチではこれからも骨を鳴らしたりする方法は(おそらく)使いませんので…。


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